大手の消費者金融は審査が厳しいらしいけど、審査はどうやっているの?

カードローンの貸付では、ユーザーから担保を取りません。つまり、ユーザーが必ず返済すると信用して、お金を貸付けることになります。従って、ユーザーの返済能力に対しては厳しい審査が行われます。

大手消費者金融の申込条件は一般的に、『満20歳以上69歳以下のご本人に安定した収入のある方』です。中でも、特に重視されるのが「安定した収入のある方」です。

属性情報

安定した収入を測るのに必要な情報として、主に以下の3つがあります。

  1. 属性情報
  2. 家庭環境
  3. 信用情報

「属性情報」とは氏名や住所、連絡先、勤務先など、個人に備わっている固有の情報のことです。属性情報の中で入念に審査されるのが、「年収」・「勤続年数」・「雇用形態」の3つです。つまり、この3つがユーザーにとって貸付金の返済を可能にする根拠となります。

特に、現在は総量規制によって、年収に対応した貸付額の制限があり、年収が審査に大きく影響します。また、勤続年数が短い人は帰属意識の薄い傾向が見られ、いつか退職して収入を失う恐れがあります。雇用形態がパートやアルバイトだと、やはり雇用契約の終了という懸念が残ります。

家庭環境

「家庭環境」では家族構成や持ち家の有無、住宅ローンの残高などをチェックします。返済能力という点では、自由裁量所得が大きく影響します。仮に、年収が高くても、教育費のかかる子供が多いと、自由に使えるお金が減ります。

また、自分の年収が少なくても、配偶者に収入があると、返済に回せるお金にゆとりが出ます。さらに、住宅ローンが無く、家の資産価値が高ければ、返済不能になる可能性が大幅に減ります。それだけ、家庭環境が返済能力に色濃く反映します。

信用情報

現在は、全ての消費者金融が指定信用情報機関に加盟することが義務付けられています。そして、カードローンを利用している全てのユーザーの「信用情報」が同機関に登録されます。従って、全ての消費者金融が全てのユーザーの信用情報を得られる環境にあるということです。

指定信用情報機関に保管されている信用情報には、以下などがあります。

  • クレジットカードやキャッシング等の契約内容
  • 過去の返済状況
  • 申込情報
  • 借入残高及び借入件数
  • ブラックリスト(返済事故)の有無

消費者金融は審査において、申込者の信用情報を指定信用情報機関に照会することが義務付けられています。従って、ブラックリストの記録があると、審査に通ることはありません。

借入残高、借入件数

全ての消費者金融は貸金業法に管轄されています。貸金業法には総量規制という規定があり、利用者の年収の3分の1を超える額の貸付が禁止されています。これには過去、社会問題に発展した多重債務による自己破産を防ぐ目的があります。

そこで、ユーザーの借入残高が高額なことで、総量規制に抵触する場合、消費者金融は貸付を拒否します。なお、他社からの借入件数の調査においては、利用限度額の合計をチェックしています。利用限度額が総量規制の制限枠に近ければ、同様に貸付をしません。

利用限度額というのは、カードローンの契約時に設定された借入可能な上限額のことです。従って、現在の借入額が少なくても、いつかは上限額まで借りる可能性があることになります。そのため、審査では各社の合計利用限度額が制限枠内かどうかを調査します。

ブラックリストの有無

審査ではブラックリストと言って、返済事故の履歴が確認されます。ブラックリストとは、借入金の返済の滞納や、債務整理などで契約通りの返済をしていない記録のことです。なお、滞納の場合は、基本的に3ヶ月を超えて返済の無かった時点で、指定信用情報機関に登録されます。

また、債務整理というのは自己破産や個人再生のことであり、借入額の返済を免除してもらうことです。当然、このような返済事故のあった人は貸付が拒否されます。

大手消費者金融の審査システム

審査にかかる時間は当然、申込者の属性情報や信用情報などで変わるため、一律ではありません。大手消費者金融の審査は通常、一次審査と二次審査があります。そして、一次審査には「スコアリングシステム」が採用されており、結果が瞬時に出ます。

スコアリングシステムというのは、過去のデータを参照して申込者の返済能力を判定するものです。大手消費者金融は長年に渡って貸付を行っているため、莫大な量のユーザーの記録が蓄積されています。様々なユーザーの属性情報や家庭環境、借入・返済情報などのデータが保管されています。

スコアリングシステムでは、莫大な量のデータを属性情報ごとにクラス分けします。そして、クラスごとの借入・返済実績などを調査し、クラスごとに評価数値をコンピュータに入力します。安定的な実績のあるクラスの点数は高くなり、滞納や返済事故の履歴の多いクラスは低い点数になります。

そして、カードローンの申込を受けると、申込者の属性をコンピュータに入力します。すると、コンピュータが自動的に同じ属性のクラスと照合し、申込者の評価を即時に出力します。申込者の属性がどのランクに該当するかで、貸付が判断されます。

高ランククラスに入っていれば、希望額での借入の可能性が高まります。逆に、低ランクのクラスに該当すると、貸付を拒否されたり、利用限度額を少額に抑えられたりします。スコアリングシステムによって、即日融資が可能になっているとも言えます。

ところで、二次審査というのは、指定信用情報機関に照会した信用情報における審査のことです。一次審査に通っても、二次審査の信用情報に問題があれば、審査に落ちます。

在籍確認

誤解している人がいますが、カードローンの審査で在籍確認が行われないことは絶対にありません。在籍確認は返済に必要な収入の存在を証明するためのものであるため、審査においては必須となります。基本は勤務先への電話による確認ですが、近年は健康保険証と給与支払明細書の提出で在籍確認をするカードローンが出ています。

まとめ

カードローンは信用取引であるため、必ず審査が行われます。特に、貸金業法による厳しい規定があるため、申込者の情報を徹底して調査します。

基本的に、一次審査では申込者の属性情報や家庭環境をチェックします。二次審査においては、信用情報機関にある申込者の信用情報を照会して調べます。なお、一次審査に導入されているスコアリングシステムは、申込者への貸付の可否を瞬時に判定できます。

ちなみに、大手消費者金融の審査通過率は、平均45%程度です。