最近の消費者金融は滞納しても取り立てがしつこくないって本当?

『消費者金融から借金をすると、万が一返済に遅れたら会社に押し寄せて来るんじゃないの?』。『家に来て大声で取り立てされたら、隣近所に知られてしまう』。などと心配して、カードローンの利用に二の足を踏んでいる人がいます。

ただ、そんな心配は要りません。現在は貸金業法と言う厳しい法律があり、テレビドラマのような怖い取り立ては行われません。

貸金業法における取り立て行為の規制

貸金業法に厳しい罰則規定が備わっていることで、全ての消費者金融が法律に則って営業しています。そして、取り立てにおいても、貸金業法に規制が設けられており、違反すると罰則を科されます。

さらに、この規制を基に、金融庁が具体的な禁止行為を定めた「ガイドライン」を策定しています。ガイドラインに違反すると、金融庁から業務停止命令などの厳しい処罰が下されます。そのため、消費者金融は取り立て用のマニュアルを作成し、ガイドラインの遵守を従業員に徹底させています。

実際に、消費者金融においては、電話による取り立ての内容がすべて記録されています。従って、違法な取り立てがあれば、すぐに判明します。

貸金業法における取り立ての禁止事項

貸金業法で規制されている禁止行為には以下などがあります。

  • 9時~20時以外の時間帯における電話や訪問
  • 1日3回を超える督促電話
  • 債務者宅への2名を超える人数での訪問
  • 正当な理由なく、勤務先など、住居以外の場所への電話
  • 正当な理由なく、債務者の勤務先への訪問
  • 督促における暴力的な態度や大声などの威圧的な言動
  • 債務者以外の第三者への契約事実の告知
  • 郵便物の送付や電話の取次における社名の告知
  • 正月やクリスマス、祭日などにおける取り立て
  • 債務者の親族や縁者に対する返済の肩代わりの請求
  • 他者からの借入を利用した返済の要求

厳しい規制によって、電話による返済の督促は未入金の事実の案内と、入金日の確認程度になっています。電話が来た時に、債務者が入金予定日を伝えれば、その時点で督促は終了します。当然、担当者から威圧的な言葉を受けることはありません。

貸金業法における取り立ての基準は以下となっています。

「平穏な私生活や就業を害するような言動をすることで、債務者を困惑させてはならない」
仮に、取り立て行為に恐怖を感じたら、すぐに業者への抗議と、監督官庁への通報をすべきです。

ちなみに、貸金業法に即した業務が義務付けられているのは、正規の登録業者でしかありません。闇金と呼ばれるような悪徳業者は、法律を無視した取り立てを行うことが考えられます。そのような業者から借入をした場合、平穏な生活を脅かされることが無いとは言い切れません。

勤務先への取り立て行為

滞納者にとって一番の気掛かりは、勤務先への取り立ての電話です。結論から言うと、取り立てのために勤務先に電話をかけてくることはまずありません。それは、「正当な理由」もなく、勤務先に取り立ての電話(FAX)をすることは貸金業法違反だからです。

正当な理由として許されるのは、電話をかけても繋がらず、また手紙を出しても連絡をもらえないなどです。また、滞納者が故意に連絡を無視しているケースが該当します。ただ、電話が来たとしても、業者が取次者に社名を出すことは無く、当然要件が取り立てとは話しません。

また、勤務先に直接取り立てに来て業務を妨害した場合は、業務妨害罪に該当します。さらに、勤務先に来た際に、帰るよう要求したにも関わらず応じなかった場合は、不退法罪になります。従って、業者は勤務先への取り立ての電話や訪問はまず行いません。

仮に、勤務先で違反行為があった場合は、監督官庁に苦情の申立てや、行政処分の申立てを行うべきです。

返済を滞納した場合の業者の取り立て方法

取り立ては回収部門にいる担当者が行いますが、一般的に滞納期間ごとにチームが編成されています。同じ滞納者でも、滞納期間が長くなると、長期間の滞納を担当するチームに変わります。

滞納といっても、多くは返済日の忘れや、銀行口座の残高不足という程度のものです。従って、滞納した当初はアルバイトの担当者が債務者に連絡を取ります。滞納翌日に債務者の携帯に電話をかけ、滞納の事実を伝えた上で返済予定日を確認します。

担当者は返済予定日の確認が目的であるため、日にちを知らされるまでは電話を切ることがありません。なお、滞納した場合は遅延損害金が発生します。従って、返済予定日の確認後、返済日までの遅延損害金の額を伝えて一緒に返済するように案内します。

返済忘れや残高不足などの場合、債務者は1回の電話ですぐに返済処理をします。ただ、2度3度の督促でも滞納を続けると、ハガキや手紙が送られるようになります。さらに、滞納が長引くと、文面に訴訟を検討している旨が記載されます。

現実には、滞納が長く続いている人は、返済不能に陥っていることが少なくありません。

債務者が返済不能状態の時の処理

債務者が返済不能の状態にあった場合、業者は債務者と返済における話し合いの場を持つことがあります。そして、利息や遅延損害金の支払いを免除し、元金のみの返済で猶予します。業者としても背に腹は代えられず、少しでも多くの貸付金の回収を図ります。

なお、訴訟を起こすと費用や手間がかかるため、よほど高額な借入残高でない場合は実施しません。また、訴訟を起こしたことで債務者が自己破産すると、回収不能となるため、示談で済ませたいのが本音です。

いずれにしても、3ヶ月以上滞納すると契約は強制解除となり、返済事故として扱われます。その記録は信用情報機関に保管されるため、債務者は5年以上信用取引ができません。カードローンばかりではなく、クレジットカードも利用できなくなります。

まとめ

現在は、貸金業法によって消費者金融に対する厳しい監視があり、強迫的な取り立てはできなくなっています。ただし、3ヶ月以上滞納すると返済事故として、指定信用情報機関に記録が保管されます。当然、その記録は全貸金業者に知られることになり、5年間はどこからも借入ができなくなります。

返済が滞りそうになった時は、速やかに業者に連絡して相談した方が賢明です。