銀行カードローンでは即日融資が受けられなくなった。なぜなのか?

銀行カードローンは消費者金融よりも金利が低いのが大きな特徴です。

金利が低くても消費者金融と同じように限度額内ならATMでいつでも借入や返済ができ、いざというときの心強い存在です。

しかし、銀行カードローンを取り巻く状況は、2017年から大きく様変わりしました。

2017年までは可能だった、申込当日の融資は、全面的にストップしてしまいました。

そのため、現在では、急いで銀行カードローンに申し込んで即日に借入れ、ということはできなくなっています。なぜそういうことになったのでしょうか?

銀行カードローンは即日融資不可

2017年までは、銀行カードローンにも、申し込んだ日に融資が受けられる商品が数多くありました(銀行毎に即日融資の条件はありましたが)。

それが、2018年からは、例外なく即日融資は不可となりました。

いまも、ネットには古い情報が掲載され、即日融資の受けられる銀行カードローンがあると書かれている記事がありますが、実際には即日融資は完全に不可となっています。

法律で即日融資が制限されたわけではないのですが、金融庁からの指導によって事実上その道は閉ざされています。

これは、銀行が暴力団などの反社会勢力にカードローン契約をしていたという事件が発覚したからです。

現在では、カードローン申込みがあると、銀行は利用者が反社会勢力の関係者でないか、警察庁のデータベースに照会をすることが必須になっています。この回答が銀行に戻ってくるまでには、どうやっても1日は掛かります。

つまり、即日融資は物理的に不可能になったのです。

このことを知っていれば、即日融資のできる銀行カードローンを一生懸命探すことが不毛だということがわかるでしょう。

反社会勢力と一切関係がない場合は、それでも数日で回答が戻ってきます。ですが疑義があった場合は、最終的に無関係であったとしても、2週間程度要してしまいます。

銀行カードローンの貸過ぎ批判もある

銀行カードローンの融資スピードが遅くなり、即日融資ができなくなった理由は直接的には反社会勢力に融資が渡ったことですが、それだけではありません。

銀行カードローンは、以前より貸過ぎが問題となっていました。

銀行は、消費者金融よりも審査が厳しいはずです。これは金利からもわかります。

消費者金融が、初めての顧客におおむね年金利18.0%で貸し付けているのに、銀行カードローンであれば14~15%程度です。金利が低いということは、融資を決定するにあたり、それだけ確実性が必要なはずです。

貸し倒れが発生しますと、収益が上がらないからです。

ところが、事実としては必ずしもそうはなっていませんでした。収入のない人に対して、収入証明書を求めず300万円の限度額を与えていた例まであったのです。

消費者金融や信販会社、クレジットカード会社等の貸金業者には、総量規制という仕組みが課せられています。

これは、利用者の年収の3分の1を、業界全体の貸付けの上限とする仕組みです。

年収300万円の人が、消費者金融2社で、50万円と30万円の限度額(現に借りている額ではない)を与えられている場合、法律上この人が新たに借入れできるのは20万円までです。

年収300万円であれば、100万円が借入れの限度ということになるからです。

ですが、銀行は貸金業者ではありません。このような規制と関係なく貸し付けても、なんら違法にはならないのです。

自分自身の収入のない専業主婦は、現在消費者金融等では原則として借入れ不可能ですが、まだ専業主婦に貸し付けている銀行もあります。このような例にも、銀行の性質が表れています。

銀行カードローンの利便性は、消費者金融が支えている

銀行がカードローンをどんどん発行して顧客を増やしていたのは、単純に儲かるからです。

ですが、消費者金融より金利が低いのに、なぜ利益が上がっていたのでしょうか。

実は、銀行カードローンは消費者金融が支えているといっても過言ではないのです。

銀行カードローンには必ず保証会社が契約に入ります。保証会社は、カードローンの返済が滞ったときに、利用者に替わって銀行に弁済をする役割を果たします。それにとどまらず、銀行カードローンの審査の大部分は、保証会社がおこなっているのです。

プロミスやアコムなど消費者金融大手は、これまでの長年の実績から個人融資について豊富なノウハウを持っています。融資決定までのスピードも非常に速いです。

そうしますと、銀行は、言葉は悪いですがほとんどなにもせず、消費者金融任せで融資を決定することができるわけです。即日融資が可能だったのも、消費者金融のノウハウのお陰なのです。

万一ローンが焦げ付いても、保証会社が弁済してくれるので銀行は困りません。

消費者金融の側も、保証料が入ってくるので悪いビジネスではありません。本業で融資が制限されていても、銀行を使って融資を実質的に拡大することができているわけです。

まとめ

反社会勢力への融資流入と、貸過ぎ問題により、即日融資ができなくなった銀行カードローンについて見てきました。

即日融資は不可能になりましたが、銀行カードローン自体の構造はそれほど変化していません。依然として、消費者金融がそのノウハウを活かして審査をしています。

ただし変化の兆しも見えてきています。銀行カードローンも、利用者の年収を無視した貸付けはしにくくなっています。

銀行カードローンについても、総量規制のような仕組みが生まれつつあるのです。