カードローンを扱う会社の中には大きく銀行系と消費者金融系があります。
銀行と消費者金融は競合会社、つまりライバル関係にあります。
しかし、消費者金融はメガバンクと呼ばれる銀行の傘下に入っていることがあります。
なぜ、ライバル関係にあるはずの銀行と消費者金融が親子関係になっているのか解説していきます。
目次
メガバンクはなぜカードローンと消費者金融の両方を手掛けているのか
メガバンクはカードローンという金融商品を持っているにもかかわらず、子会社として消費者金融会社を抱えているのか不思議に感じると思います。
メガバンクが扱っているカードローンの貸出金利は10%未満に設定されるケースもある一方、子会社の消費者金融会社による融資の金利は約18%となっています。ひとつの金融機関が、二重商品を扱っているような印象を持ってしまうのです。
実は、カードローンの審査と融資した資金の回収業務を消費者金融会社に委託している
三菱UFJ銀行でも三井住友銀行でも、個人向けカードローン業務を大々的に展開しています。具体的には、三菱UFJ銀行ならば、バンクイックという商品名でカードローンを手掛けており、金利を1.8%から14.6%の幅で設定しています。三井住友銀行のカードローンの場合は、金利を4.0%から14.5%に設定しています。
ところが、カードローンの場合は顧客から担保をとらずに融資をするために、銀行は審査のノウハウや、融資した資金の回収業務のノウハウを持っていません。そこで、顧客からカードローン利用の申し込みがあった場合には、実際の審査は消費者金融会社に委託されているといたというわけです。
銀行が、無担保融資についてノウハウを持っていないことについては理由があります。それは、銀行の融資業務は基本的に、担保主義でおこなわれてきたためです。例えば個人向けの住宅ローン融資については、戸建て住宅やマンションを担保にとることで融資を実行しています。また、民間企業に対して融資を実行する場合には、民間企業が所有している不動産を担保にとったり、売掛金を担保にとることで融資を実行しているのです。ところが、これまで無担保融資についてのノウハウは銀行内に蓄積がされてこなかったという事情があります。
消費者金融会社は無担保融資を主力ビジネスとしてきた
一方の消費者金融会社は、一貫して無担保融資ビジネスを手掛けてきました。担保を提供することのできない一般の個人を相手にお金を貸すわけですから、相手の顔つきなどを見て、対面での与信をおこなうところからビジネスを出発させてきました。
借金を申し込んできた顧客が身につけているアクセサリーを見て「光り物が多い」と見たり、ワイシャツを見て襟の汚れを感じたら「家庭が乱れている」と見極めるなどして、融資を実行するか否かを判断してきたのです。このようにノウハウを蓄積してきました。
客層を幅広く扱うために、メガバンクは消費者金融を子会社化した
日本は20年近く低金利社会という状況が続いています。そのため、メガバンクは収益力を強化するためにカードローン業務を強化するだけでなく、消費者金融業界にまで積極的に進出しました。
メガバンクのカードローンを利用する顧客は、年収が500万円や600万円、あるいは800万円といった中間層がメインとなっています。このため、収入面で信用力が高いと判断されて、金利を10%以下で借りることも可能なのです。
一方、消費者金融会社に借金を申し込む人は、年収が200万円から400万円までの層が圧倒的に多いです。このため、メガバンク本体のカードローンの審査に落ちた人の場合でも、子会社の消費者金融会社を紹介することによって、高い金利でお金を融資して収益を得る戦略をとっているのです。
メガバンクをはじめとする金融機関は、預金者から0.1%未満の金利でお金を預かり、もっとも高くて18%の金利でお金を融資できるのですから、審査ノウハウや回収ノウハウさえ身につけていれば、高い収益を得ることができるわけです。
まとめ
メガバンクは、消費者金融会社を子会社化することによって、無担保融資についてのノウハウと、借金返済を延滞された場合の資金回収ノウハウを銀行内部に取り込むことができました。さらに、これまでは銀行内の審査基準によって、年収500万円や年収600万円程度までの個人にしか無担保融資を実行できなかったところが、消費者金融会社を子会社化したことによって、年収200万円程度の低所得層に対しても高い金利で融資を実行することが可能となったのでした。