カードローンといいますと、プロミス、アコムなど消費者金融のものを連想するかもしれません。あるいは、メガバンクの発行する銀行カードローンでしょうか。
ですがカードローンとしての知名度は落ちるかもしれませんが、有名な信販会社やクレジットカード会社からも、商品が出ています。
その、あまり知られていない信販系カードローンの特徴をご案内します。
目次
信販系カードローンとは? どこの会社が出している?
信販会社というのは、なにをしているのかよくわからない人もいるでしょう。ですが、大手信販会社の社名については、聞けば誰でも知っているものが多いはずです。
- オリコ(オリエントコーポレーション)
- ジャックス
- セディナ
- アプラス(大手ではなく中堅)
信販会社も、本業と、クレジットカード、それからカードローンなどいろいろと周辺事業を展開していますので、その姿がわかりにくくなっています。特にセディナなど、クレジットカード会社と合併してきた歴史があり、信販会社としてのイメージはやや薄いかもしれません。
上記の会社も、それぞれ信販会社であるとともにクレジットカード会社でもあり、貸金業でもあるということです。では、なぜ「信販会社」として分ける必要があるのでしょうか?
信販会社というのは、「ショッピングクレジット」が本業です。
クレジットカードを使わず、店舗や通販、TVショッピング等で分割払いができますが、これを提供しているのが信販会社です。
利用者分割払いをしたときは、信販会社が販売業者に料金を支払います。その後、ローンを組んだ利用者は、分割代金を信販会社に支払います。信販会社はこの利息で収益を上げているのです。
また、ショッピングクレジットの規模を大きくしたものと言えますが、オートローン(マイカーローン)の取扱いでも、信販会社は有名です。
このように信販会社の特徴をつぶさに見てみますと、カードローンの分野でも、消費者金融と分けて捉える価値があるわけです。
「信販系」のくくりは曖昧
信販会社の業務も広範囲にわたっています。
そのため、あるカードローン商品を指して、それを「信販系」といえるかどうか、はっきりした分類の基準があるわけではありません。ですから、「信販系」とひと口に言ってもその指している中身には気を付けましょう。
クレジットカード会社を信販系に含めて紹介していることもあります。その分類によると「三井住友カードゴールドローン」「クレディセゾンマネーカード」なども信販系ローン含まれています。
ですが、これらを発行している会社、「三井住友カード」「クレディセゾン」は信販業務をおこなっていません。
クレディセゾンは、遡ると「緑屋」という月賦百貨店ですが、現在全く信販業務はありません。クレジットカードのセゾンカードには「分割払い」方式すらなく、むしろ最も信販系からは縁遠い存在です。
「オリックス・クレジット」を信販系として紹介しているものもありますが、この会社はクレジットカードも発行していない、純然たる消費者金融です。
クレディセゾンと同じく月賦百貨店出身で、ショッピングクレジットで大きくなった会社にマルイがありますが、こちらのほうが、ずっと信販会社に近い存在です。今でも、「運転免許取得ローン」など、信販会社の業務を多数おこなっています。
その金融部門は現在エポスカードというクレジットカード会社ですが、この会社もキャッシング部門に注力しています。
エポスカードは信販会社と呼ばれることはありません。ですが、前述のクレジットカード系よりはるかに信販会社に近い存在です。カードローン商品は発行していませんが、クレジットカードを使った即日融資などを実行している、独自の存在です。
信販系カードローンと消費者金融とはよく似ている
消費者金融も信販系も、貸出しの根拠法令は貸金業法にありますので、実のところその機能は大きくは変わりません。違うのがなにかというと、会社のビジネス形態が違い、サービスが若干違うということしか言えません。
申込方法も、実際の利用方法も共通しています。金利についても、どちらも貸金業法の上限である18.0%で貸し出すことが多いので、ほぼ同一です。
借入れ方法、返済方法も、「口座引落し」に対応しており、ATMでの随時返済も可能で、性質はほぼ共通しています。
この二つの業界がよく似ていることを証明するビジネスがあります。銀行ローン、特にカードローンの保証業務は、消費者金融も信販会社も、どちらもおこなっています。
大手信販会社のオリコは、みずほ銀行カードローン等の保証業務をしています。銀行カードローンの保証業務というのは、実質的に審査の代行もしています。この業務は、個人向け融資で培ったノウハウがないととてもできないものです。
他行カードローンでは、三井住友銀行はプロミスが、三菱UFJ銀行はアコムが保証をしています。
同じくカードローン商品を出しているクレジットカード会社では、大規模な保証業務まではなかなかできません。それだけ信販会社には、個人の融資に対する実績と信頼があるのです。
信販系カードローンのメリット
多くが銀行の傘下に入り、世間のイメージも大幅に向上した消費者金融ではありますが、それでもかつての「サラ金」というイメージはどうしてもついて回ります。最近は減ってきましたが、複数の消費者金融が入っている駅前の雑居ビルが「サラ金ビル」と揶揄されることもあります。
その点、信販会社は同じく金融・ローンを扱っていても、世間のイメージが大きく異なります。もともとオートローンなど重要なローン商品を扱っており、生活に欠かせない存在として捉えられています。知名度の高いクレジットカードを発行している点にも、大きな信頼があります。
次に、信販系カードローンは、銀行カードローンよりは審査に通過しやすいです。審査の難易度は、金利の高さに反比例しますので、ほぼ上限金利で貸し出している信販系の場合、審査通過率は上がります。
消費者金融と銀行との中間に位置するカードローンが信販系ということになります。
提携ATMが多いのも信販系のメリットです。コンビニはほぼ網羅していますし、都市銀行やゆうちょ銀行だけでなく、地方銀行や信用金庫とも多く提携しています。
専用ATMはなくても、困ることはほとんどないでしょう。さらに、振込みでの融資も受けられます。
もともと、発行しているクレジットカードのキャッシングのために充実しているサービスが、カードローンでも受けられるわけです。
会員用Webサイトから手続すれば、口座引落しの額を臨時に増額できる点も、信販系カードローンのメリットです。
信販系カードローンのデメリット
信販系カードローンは、金利や提携ATMの多さなど、消費者金融大手とほぼ変わらない内容のものです。
ですから、消費者金融だけで提供しているサービスがあると、それはすべて信販系のデメリットとなります。次のようなサービスは、信販系にはほとんどありません。
- 即日融資
- インターネットによる随時返済
- 専用カードを持たずに利用
- 曜日を問わず24時間可能な振込融資
- スマートフォンアプリを使ったキャッシングと返済
- 新規契約時の無利息期間
また、返済については口座引落しが義務化されています。これで困る人はあまりいないはずですが、消費者金融のような、銀行と一切無関係に利用する方法はなく、これをデメリットと感じる人もいるかもしれません。
どちらかというと、派手なサービスと宣伝はせず、クレジットカードホルダーなどの自社既存ユーザーに対して融資をするのが信販会社だと言えるでしょう。
もっとも上記に挙げた消費者金融に優位性のあるサービスも、消費者金融のすべてが実施しているものではありませんから、これをもって直ちに信販系のサービスは悪いと断言はできません。
それでも、もっとも消費者金融との差が出るのは、即日融資をしていないという部分でし
ょう。即日融資は別段禁じられていません。現に、信販系に近いエポスカードのクレジットカードでは即日融資を実施しています。
なお、信販系カードローンの審査通過率は、消費者金融よりも低いと言われています。これもデメリットと言えます。
しかし不思議です。本来、金利の高さと審査の難易度とは反比例するはずなのです。消費者金融と金利が同等のローンなら、審査難易度も同等のはずですが、なぜそうではないのでしょう。
その理由は、信販会社が個人向け融資を本業としていないためと考えられます。
消費者金融は、貸し付けて利息を得るビジネスです。それが本業なのですから、多少はリスクを拾いにいかなければなりません。
いっぽう信販会社の場合、他にも広いビジネス展開をしており、個人向け融資はそれほど大きな規模にはなっていません。現在でも、クレジットカードユーザーへの追加サービスというイメージがあります。
そうしますと、カードローンでわざわざ冒険をする必要はないということになります。
ただ、別の要素も考えられます。それは、信販系カードローンは店舗を有しておらず、宣伝もしていないということです。
そうしますと、経費が掛からないので、ローンの金利を下げてもいいはずなのです。現に、店舗を持たず宣伝もさしてしない消費者金融のオリックス・クレジットは、上限金利を他より下げています。信販会社も、厳しい審査の分、金利を厳しくするのなら普通ですがそうはなっていません。審査が厳しい分、どこかでサービスをしているはずです。
ここから考えますと、信販系カードローンは、既存会員へのサービスが充実していると思われます。
審査は厳しめであっても、一旦カードを作った人については、限度額引上げ、金利引下げなどのサービスは比較的受けやすいのではないでしょうか。
まとめ
信販系カードローンの特徴についてまとめると、
- 信販系は世間の信頼が高い
- 別の業界なのに「信販系」に入れられることのある業者もある
- 宣伝はしておらず、クレジットカードユーザー以外には知られていない
- 審査難易度は、銀行と消費者金融との中間