2010年の改正貸金業法の完全施行による総量規制の導入によって、消費者金融カードローンは大打撃を受けました。総量規制の導入によって消費者金融カードローンが苦戦を強いられるのを横目に融資残高をどんどん増やしてきたのが総量規制の対象となっていない銀行カードローンです。しかし、その銀行カードローンも2017年に社会問題化した過剰融資問題から大幅な自主規制を余儀なくされています。銀行カードローンと消費者金融カードローンはどのようになっていくのでしょうか。
2017年の銀行カードローンの過剰融資問題は十数年ぶりの自己破産申請が増加したことによって表面化しました。マスコミなどで問題が取り上げられることが多くなった銀行は全国銀行協会を中心として、あわてて自主規制という対応で過剰融資問題を緩和しようとしています。一般的には消費者金融などの貸金業よりも銀行のほうが社会には厳しい目が向けられることは事実ですから、銀行の対応は少し鈍かったと思われました。しかし、この問題に金融庁が関心を持ったことによって銀行はより大きな対策を求められることになりました。銀行としては消費者金融カードローンの貸金業法改正のような法律の縛りを受けたくなかったからです。ただし、銀行の自主規制はほとんど総量規制と遜色のないほどの厳しいものとなったため、これから銀行カードローンは貸出残高が頭打ちになるか、減らしていくことが考えられ、銀行カードローンが衰退し、衰退していた消費者金融カードローンが復活していくと考えていいのではないでしょうか。
銀行カードローンと消費者金融カードローンの法律上の大きな違い
銀行カードローンも消費者金融カードローンも個人を対象とした金融商品です。しかし、銀行カードローンと消費者金融カードローンは利用者にとっては同じような金融商品に見えますが、実は大きな違いがあります。それはそれぞれのカードローンが規制を受ける法律が違っているからです。銀行カードローンは銀行法によって規制され、消費者金融カードローンは貸金業法によって規制されます。10年ほど前に大きな社会問題となっていた多重債務者問題の中心となったのは消費者金融などの貸金業者でした。そこで、貸金業法の改正による総量規制の導入によって消費者金融カードローンに縛りがかけられました。具体的には消費者金融カードローンでは、利用者は年収の1/3以上の融資を受けることができなくなりました。その他いろいろな規制が入りましたが、消費者金融カードローンが打撃を受けたのはこの1/3規制と言えます。一方で銀行カードローンは法律による規制は入りませんでしたから、消費者金融カードローンが頭打ちになるのと反比例して銀行カードローンが融資残高をどんどん増やしていくという結果になりました。もちろん銀行にとっても銀行カードローンは、他のローン商品よりも利益率が高いということもあって銀行自体が積極的に銀行カードローンの融資残高を増やしていったという経緯もあります。
銀行カードローンの自主規制の内容とは
銀行カードローンの自主規制はあくまで自主規制であり法律で規制されるというものではありません。なので、それぞれの銀行によって自主規制の違いは少なくありません。しかし、メガバンクを中心とした自主規制の内容を見てみると、消費者金融などの貸金業者を規制する貸金業法の総量規制の内容に沿ったものとなっているのは明らかです。それは総量規制の導入によって消費者金融カードローンなどの問題が大きく緩和しているという認識があるためだと思われます。おそらくメガバンク以外の銀行カードローンを取り扱っている銀行も、ほとんどこのメガバンクの自主規制のラインを踏襲するものであると考えられます。すなわち銀行カードローンも消費者金融カードローンと同じような審査の過程を経なければならない金融商品となっていくと考えられます。
そもそも銀行カードローンは消費者金融カードローンの衰退から貸付残高を伸ばしてきたものでありますから、同じような規制があれば銀行カードローンは少なくなっていき、その反動として衰退していた消費者金融カードローンが増えていくものと思われます。ただし、消費者金融カードローンも大きく復活することはなく、カードローン商品自体が衰退していくというシナリオもあるかもしれません。
まとめ
銀行カードローンは改正貸金業法が完全施行された2010年から貸付残高を大きく伸ばしてきました。しかし、そのような異常ともいえる状態が長く続くわけはありません。具体的には過剰融資問題から自主規制と経て、銀行カードローンの貸付残高の伸びは抑制され、やがて減少に転じることになるでしょう。そして、それと反比例して消費者金融カードローンが復活すると考えられますが、消費者金融カードローンも総量規制がありますから劇的に復活というわけではないでしょう。歴史は繰り返すのかもしれません。